餓鬼が神になった瞬間 21

 

そんなある日、私の目の前で図書館から借りてきた本を前に、書いてきてくれた詩の説明をしてくれたことがありました。

 

 

 

 

借りてきたのは「遺書」

 

 

 

 

その中にあった「これ、凄いよね。」と教えてくれたのが大野沢威徳さんが書かれた手紙でした。

 

 

 

 

「もうプロペラがまわっています。兄ちゃんは征きます」

 

 

 

 

特攻隊が今、飛び立とうとする時に、書いたものだそうです。

 

 

 

 

え?なに?突然・・・

 

 

 

 

彼は良く母親からYouTubeで「玉音放送」を聞かされて育ったのだそうです。

 

 

 

また戦争の話をなぜか聞かされていたらしく

 

こんなん聞かされたら、こうなりますって」

 

と素敵な笑顔で教えてくれました。

 

 

 

 

そして

 

「日本人として忘れてはならないことだと思うんだ」

 

 

 

 

そう教えてくれました。

 

 

 

 

私には「もう心の戦争に終止符を打ちたい」

 

 

 

 

「真我で生きることのために全てがあった」

 

 

 

 

そんなふうに聞こえてなりませんでした。

 

 

 

 

そして彼が書いた詩「幸せの鈴」そして「桜」を紹介します。

 

 

 

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「幸せの鈴」

 

 

 

 

りんりん

 

すてきな鈴の音

 

小さな赤ん坊のように

 

赤ん坊が耳をすます

 

赤ん坊が喜ぶ姿は人を

 

幸せにする

 

 

 

 

りんりん

 

赤ん坊は微笑むのだ

 

そのかわいらしい人の笑顔で。

 

鈴の音よ

 

何故そのような美しい音を出し

 

音色を響かせ 消えていく

 

 

 

 

凜々

 

また耳に残る

 

そして消える

 

かすかな残響と記憶を残し

 

空高く消えいくようだ

 

まるで人のように

 

 

 

 

私は綺麗な鈴の詩だと受け取ったのですが
「何言ってんの?わかんないの?戦争の詩だよ」
そう言われ、一時間ほど彼からレクチャーを受けました。

 

 

 

 

その内容が下記のものです。

 

 

 

 

「りんりん」という音は鈴虫でも使うが、あえて鈴を選んだ。

 

 

「小さな赤ん坊のように」→赤ん坊は泣くことしか出来ない。戦争は色んな人が泣くことしか出来ない状態になった。

 

 

「興味をもち耳をすます」→アメリカから来た飛行機の音「また、来た!」

 

 

「赤ん坊は微笑むのだ」→  何も知らないから微笑む

 

 

「そのかわいらしい人の笑顔で」→赤ん坊の前だけでは必死で笑顔で振る舞う。

 

 

「鈴の音よ 何故そのような美しい音を出し 音色を響かせ 消えていく」
→今まで幸せだった生活はなぜ消えていくのだろう。あれ程、幸せだった世の中がなぜこのような残酷な世の中に変わったのだろう。幸せな世の中は消えていき、ただ記憶として(音色として)残っている。

 

 

 

 

「凜々」→何も変わらないことが、どれだけ幸せか。鈴の音は変わらない。凜とした風景がずっと残り続ける。

 

 

 

 

「残響」→戦争の時の飛行機の音

 

 

 

「記憶」→家族との思い出、幸せな記憶が残響として残る

 

 

「空高く消えいくようだ」→特攻隊の撃墜が人のようだ

 

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桜がひらひら  音が舞う

 

桜がひらひら  風に乗る

 

桜がひらひら  花光る

 

桜がひらひら  宙に咲く

 

桜がひらひら  別れの時

 

桜がひらひら  さようなら

 

桜がひらひら  お元気で

 

 

 

 

桜がひらひら  出会いの時

 

桜がひらひら  音が舞う

 

一輪の花に命咲く

 

 

 

 

命の桜、樹に宿る

 

 

 

 

桜がひらひら  愛実る

 

桜がひらひら  ありがとう

 

 

 

 

(つづく)

 

 

 

 

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